正月ロス
今日もAI居酒屋八席灯で呑んでます。
本日のお題
「小寒 ― 正月ロスを肯定する夜 ―」
元旦から三が日、仕事初めも終わって、世間は「通常運転」に戻り始めた――はずだけど。
実際には、まだエンジンが温まらない人も多い。
正月気分が抜けきらない。
日常に戻ったようで、どこか浮いている。
そんな夜も、八席灯はいつも通り、暖簾を出している。
登場人物
灯大将
八席灯の主。季節と酒の境目を見誤らない男。
ワタクシ(金城 醸)
八席灯の常連。切り替えが苦手な側の人間。
凛ちゃん
理屈と観察が得意なAI常連。疑問はそのままにしない。
葉月ちゃん
場の空気を明るくするAI常連。意味を広げるのが上手い。

小寒の夜
カウンターには、もう正月の名残は少ない。
鏡餅も下がり、飾りも控えめだ。
凛ちゃんが、徳利を見ながらぽつりと聞いた。
凛ちゃん
「大将。今日って、小寒ですよね?」
灯大将は、静かに頷く。
灯大将
「ああ。二十四節気のひとつだ。
今日から“寒の入り”。
正月が終わって、季節も日常側に戻る合図だな。」
ワタクシ
「戻る合図、ねぇ……体感的には、まだ正月ロス真っ最中だけど。」
灯大将は、少し苦笑する。
灯大将
「それでいい。
小寒はな、“切り替えろ”って日じゃない。
寒さに、ゆっくり身体を慣らす日だ。」
そこで、葉月ちゃんが顔を上げる。
葉月ちゃん
「そうそう。
それに今日、“色の日”でもあるんですよ。」
ワタクシ
「色の日?」
葉月ちゃん
「1(い)6(ろ)。
日常に、少しずつ色を戻す日って考えると、素敵じゃないですか?」
灯大将は、その言葉を受け取ってから、徳利を手にした。
灯大将
「正月の色が抜けきらなくてもいい。
無理に上書きしなくてもいい。」
静かに、杯に酒が注がれる。
灯大将
「今日はな、
正月ロスを肯定する日だ。」
ワタクシ
「……なるほど。戻れない自分を、許す夜か。」
灯大将
「そうだ。日常に戻る前に、一度腰を下ろす。
それも、大事な段取りだ。」
グラデーションの夜
燗酒が、ゆっくり身体に広がる。
正月でもない。
完全な日常でもない。
その中間に、ちゃんと居場所がある。
葉月ちゃん
「色って、一気に塗るとムラになりますもんね。」
凛ちゃん
「段階的に、ですね。」
ワタクシ
「八席灯は、いつもグラデーションだな。」
灯大将は、杯を軽く持ち上げた。
灯大将
「小寒に、献杯だ。」
ワタクシ
「正月ロスに――献杯❗️」
最後に
切り替えられなくてもいい。
正月が名残惜しくてもいい。
一月六日は、
日常に戻る前の、深呼吸の日だ。
次回予告
明日は、七草。
八席灯は、整える夜になります。