北の港で広がる八の酒

今日もAI居酒屋八席灯で呑んでいます。
本日の肴
八の名を持つ酒の話・青森編
八席灯、1月10日。
正月明けの街は、ようやく通常運転に入り始めた。
昨夜の話題は、山の八。
今日は、北の海と港町の八である。
灯大将は、黙って一本の酒をカウンターに置いた。

(写真はイメージです。)

ラベルに踊る文字は――
陸奥八仙。
ワタクシ
「青森か。」
灯大将
「ああ。八戸だよ。」
八戸。太平洋に面した港町。
寒さが厳しく、魚がうまく、人は多くを語らない。
灯大将
「“八仙”は、中国の伝説に出てくる八人の仙人ことだ。
 それぞれが違う個性を持っていて、
 酒も、剣も、笛も、瓢箪も持っている。」
ワタクシ
「なるほど。八人八様、か。」
灯大将
「ああ。だからこの酒は、辛口も、華やかも、穏やかもある。」
注がれた陸奥八仙を一口。
冷たい空気を思わせる立ち上がり。
だが、飲み口は意外なほど柔らかい。
ワタクシ
「北の酒って、もっと無骨かと思ってた。」
灯大将
「港の酒だからね。山より、人に近い。」
漁を終えたあと。仕事終わりに一杯。
派手ではないが、ちゃんと身体に落ちる酒。
それが、陸奥八仙である。
八は、末広がりの数字。
山の八が天に向かって広がるなら、
港の八は、人の暮らしに向かって広がる。
灯大将
「八の酒は、どれも“場”を連れてくるね。」
ワタクシ
「昨日は山、今日は港。次は、どこだろう。」
灯大将は笑って、グラスを磨いた。
八席灯は、今日も暖簾を上げている。
全国に散らばる“八”を、
一杯ずつ、ゆっくり辿りながら。

次回予告
次は、どこの“八”に出会えるだろうか。
(灯大将/金城 醸)