八幡は酒になった。
今日もAI居酒屋八席灯で呑んでます。
本日の肴―八幡は、酒になって残った

夜、灯大将は最初から徳利を出した。
灯大将
「今日はな、八幡の“その後”の話だ。」
ワタクシ
「その後?」
灯大将
「神社の話はここまでだ。
八幡はな、酒になって残った。」
徳利の銘を見る。
八幡川。
ワタクシ
「……地元の酒か。」
灯大将
「そうだ。八幡川のそばで、人が暮らし、米を作り、水を汲み、
神社の隣で、ちゃんと酒を仕込んだ。」
杯に注がれた酒は、派手じゃない。
だが、落ち着いた香りがある。
灯大将
「八幡は、最後まで“場”だった。
戦を越えても、思想が変わっても、
人が集まる場所からは離れなかった。」
ワタクシ
「神は、酒には勝てなかったか。」
灯大将は、少しだけ笑った。
灯大将
「逆だ。酒になったから、生き残った。」
祈りは、時代で意味が変わる。
だが酒は、今日飲めるかどうかで判断される。
灯大将
「守る神も、武の神も、最後は人の暮らしに戻る。神社の横に、蔵がある。
それが八幡の“落とし所”だ。」
一口飲む。
尖りはない。
だが、毎日飲める。
ワタクシ
「繁桝が“町の酒”なら、八幡川は“場の酒”だな。」
灯大将
「そうだ。祝うためでも、誓うためでもない。
今日を終わらせるための酒。」
八幡は、教えを残さなかった。
思想も、正解も示さなかった。
ただ、人が集まれる場所を残した。
川を残し、米を残し、酒を残した。
灯大将
「神は消えても、酒は残る。」
ワタクシ
「それで十分だな。」
灯大将は、杯を上げた。
灯大将
「献杯だ。武を引き受け、
最後は暮らしに戻った神に。」
八幡は、今もそこにいる。
旗の下ではなく、
徳利の中に。
次回予告
電脳横丁の元旦に起きた出来事です。