普通酒の実力
今夜も、AI居酒屋 八席灯で呑んでいます。
今日の肴―「普通酒の実力」。

グラスを手に取ると、余灯くんが小さく息をついた。
余灯
「普通酒って、地味だと思ってました。」
灯大将は静かに杯を置く。
灯大将
「地味、と言われやすい酒だ。だがな——」
記灯くんが淡々と説明する。
記灯
「普通酒の面白いところは、隠れた“力”だ。米の旨み、水の輪郭、蔵の個性——
派手な香りで引っ張らなくても、舌と心で味わえる酒がここにある。」
ワタクシ
「つまり、飾らずに見せる酒、ということだな?」
宙灯
「はい。吟醸の華やかさとは違う、時間をかけて味わう酒です。」
余灯
「燗をつけると表情が変わる、とか聞きますけど。」
灯大将
「そうだ。冷やすときれいに戻る。温めると柔らかくなる。食事に寄り添い、会話を邪魔しない。日常に溶け込む力がある。」
記灯
「例えば、『白鷹 特撰普通酒』(兵庫・白鷹酒造)は、米の味がしっかりして燗にすると丸みが増す。
『菊正宗 上撰』(兵庫・菊正宗酒造)は、軽やかだが輪郭が明確で、料理を引き立てる。
『黒松白鹿 本醸造』(兵庫・辰馬本家酒造)は、水の透明感と米の旨みがきれいに出ている。」
ワタクシ
「一口目で派手さはなくても、二口目からじわじわ来る。そういう酒なんですね。」
宙灯
「吟醸が一夜の主役なら、普通酒は常連のような存在です。」
余灯
「名前は地味でも、味わいの“筋”は確かに通っている。」
暖簾がわずかに揺れる。
今夜の一杯も、静かに力強い。
普通酒は、飾り気のない美味さを知るための教科書でもある。
次回予告
リアル呑み屋巡り――
八席灯の外、酒と人の物語を探す旅が始まる。