訪日外国客の日本酒人気が高まっている

昨年10月から日本への外国人観光が再開され、街なかでも外国客を見ることが多くなってきました。
日本酒輸出は順調に伸びていますが、これからは訪日外国客に日本酒を味わってもらって購入して貰う、日本酒のインバウンド消費が本格化していくでしょう。

訪日外国客数は順調に回復

コロナ期にほぼゼロになった訪日外国客数は、月毎に順調に回復しており、最新の2023年1月速報値ではコロナ前に比べて▲44%という水準まで戻っています。国別でみると、韓国、台湾、香港からの訪日客が順調に回復しており、米国やヨーロッパ諸国も徐々に回復。ただ中国の回復が、まだ全く見られません。

2022年10月以降の訪日客の回復状況(国別、2019年との対比)
(出所)グラフ、表とも「訪日外客数統計」観光庁(JNTO)より筆者作成。

中国からの訪日客が増えない理由は、2022年中は中国がゼロ・コロナ政策で海外渡航を禁じていたことと、2023年1月に中国がゼロ・コロナ政策を撤廃した際には、日本が中国のコロナ流行への懸念から水際対策を強化したことによるものです。
やむを得ないことではありますが、2019年の訪日客数全体の30%を占めていた中国が回復しないことには、訪日外客数がコロナ前に戻ることはありません。

「みやげ物・購入率ランキング」に見る日本酒の人気化

観光庁の「訪日外客消費動向調査」では、訪日外国客がどのような品目をいくら購入したかの統計があります。
そこで、各品目の購入率(外国客のうち何%がその品目を買ったか)を、みやげ物の人気のバロメーターと考え、独自にランキングを作成しました。
その結果、2022年10-12月期の購入率ランキングで、酒類は4位(購入率23.5%)になり、コロナ前の2019年のランキング7位(購入率19.0%)から、大幅に上昇したことが分かりました。また酒類の購入者一人当たりの購入額(購入単価)も、8,676円から12,783円へと47.3%上昇しています。
これらは外国客に日本酒の認知度が上がり、みやげ物として人気が高まっていることを示しています。

(出所)「訪日外客消費動向調査」観光庁(JNTO)より筆者作成。

日本酒のインバウンド消費拡大はこれからが本番

日本政府は3月1日から中国に対する水際対策を一部緩和しました。今まで入国者全員に義務付けてきた検査を、一部を対象としたサンプル検査に切り替え、中国からの到着便を成田、羽田、関西、中部の4空港に限定していた措置も撤廃し、航空各社の増便も認めます。シーズン的に海外旅行の増えるのは4月以降。中国の旅行者に対する水際対策が緩和されれば、一段と訪日外国客数も増えるでしょう。
外国客に分かりやすい英語の商品説明や、酒蔵ツーリズムや居酒屋クロールといった体験型のイベント企画。
「大阪に住む人たちTV 544 」の「松田部長」のような、SNSを使った情報発信。
いろいろな手を尽くして、円安やコロナ終息を追風として、ぜひ日本酒のインバウンド消費を拡大させましょう。

(参考資料)
国土交通省・観光庁(JNTO)「訪日外客数の動向~2023年1月推計値」
訪日外客数・出国日本人数データ|統計・データ|日本政府観光局(JNTO)
国土交通省・観光庁(JNTO)「訪日外国人消費動向調査~2022年10-12月期(1次速報)集計結果」
001583454.xls (live.com)
日経新聞2023年2月27日「中国からの入国、水際対策を緩和 3月1日から」
中国からの入国、水際対策を緩和 3月1日から – 日本経済新聞 (nikkei.com)