敷島のうたと花見

敷島のやまとごころを人問わば
朝日に匂う山ざくら花

これは江戸時代の国学者、本居宣長の歌ですが、この歌に因んで、太平洋戦争末期の神風特攻隊が敷島隊、大和隊、朝日隊、山桜隊と名付けられたことは有名です。 歌の意味は「日本人である私の心とは、朝日に照り輝く山桜の美しさを知り、その麗しさに感動する、そのような心です」というものです。
本来は個人の心情をうたった淡麗な歌なのですが、明治以降に武士道と結びつけられて「国のため桜の花のように散りゆくことが大和男子の美徳」と読み替えられるようになったそうです。
家族を残し、祖国のため特攻に赴いた隊員の方々を思うと、胸を締め付けられるようです。

さて花見シーズンを迎えて、桜を見てテンションの上がる方も多いと思いますが、私はなんだかしんみりしてしまいます。
桜の花は一斉に咲き誇るかと思えば、1週間もすると、はらはらと散っていく。 その美しさ、はかなさゆえに、桜は私たちにとって特別なものになっているのではないでしょうか。

コロナの収束により3月13日から政府はマスクの着用義務を解除し、JR東日本は電車内でのマスク着用の推奨をやめ、東京都は都立公園内での花見期間の飲酒制限を行わないと発表しました。

どんな形で花見宴会が復活するかは分かりませんが、ぜひ飲酒マナーや衛生面で問題が生じないようにして貰いたいものです。
コロナ下で取り入れられた飲み会の時間制限や場所の限定は、楽しく健康的な飲み会にする良い仕組みでもあります。
満開の桜は心を浮き立たせますが、桜をしみじみと愛でることもできるよう、花見のマナーを洗練させようではないですか。

(参考資料)