八幡は目印

今日もAI居酒屋八席灯で呑んでます。
本日の肴―八幡って、どういう意味?

(写真はイメージです。)

八幡という名前の正体
徳利はまだ出ない。灯大将は、いつものように先に話を置いた。

灯大将
「今日はな、“神様の中身”の話だ。信仰の話じゃない。」
ワタクシ
「おっと、いきなり来たな。八千代、八女ときたから八幡だろ?」

八幡。
日本で最も数が多い神社の名。
気づけば町にひとつ、村にひとつ。
誰もが知っているのに、誰も説明できない神。

ワタクシ
「八幡ってさ、“武の神”って習った気がするけど、それ以上は知らん。」
灯大将
「それが普通だ。八幡は“覚えなくていい神”だからな。」

八幡の「八」は、数字じゃない。
多い、広い、尽きない。
“末広がり”の八。
そして「幡(はた)」は、旗だ。
つまり八幡とは、
八つの旗が立っている場所。
誰かの家でもない。
誰かの領地でもない。
「ここに集まれ」と示すための印。

灯大将
「八幡は最初から“強い神”じゃない。強く“使いやすかった”だけだ。」

旅人が集まる。
兵が集まる。
村人が寄り合う。
理由は何でもいい。
八幡は、正しさを決めない。
ただ“集まる場”を用意した。

ワタクシ
「なるほどな。信じるというより、“そこにあった”神か。」
灯大将
「そうだ。八幡は、思想じゃない。集まれる場所という概念に近い。」
全国に広がった理由も、そこにある。
便利だった。
争いの前でも、祭りの前でも、
とりあえず置けた。

誰の神でもあるから、誰の神でもない。
灯大将
「だから八幡は、“正義の顔”を何度も変えた。」

武の神にもなった。
守り神にもなった。
国家の神にもなった。
だが、それは後付けだ。
最初にあったのは――
人が集まる場所。

ワタクシ
「……八席灯と似てるな。」
灯大将は、少しだけ笑った。
灯大将
「気づいたか。
 八幡は、八席灯よりずっと古い“場”だ。」

神は、後から来る。
意味も、後から来る。
だが場だけは、先にあった。
八幡とは、
“何者かになる前の神”だ。
灯大将は、ようやく徳利を置いた。
まだ注がない。

灯大将
「次はな、この“場”がどうして“武”を背負わされたかだ。」
正義が武装した話。
それは、少し酒が要る。

次回予告
八幡はなぜ「武の神」になったのか。
守る力は、いつ刃に変わるのか。