チェーン店の星

普段は個人経営の日本酒専門店を応援しているワタクシだが、チェーン店でもちょっと侮れないお店がある。

全国120店舗を展開している「天狗」だ。

まず、お通しなし、席料なし、サービス料なし。その上、美味しい日本酒が呑めるのだから、不満はない。

天狗の呑み放題コースには「ビジネスクラス」と「ファーストクラス」(最近、スペシャル飲み放題に名前が変わっていた。)がある。

「ビジネスクラス」はメニューの一部が呑み放題で1,500円だが、注目すべきは「ファーストクラス」だ。

「ファーストクラス」は、メニューのほぼ全てが呑み放題なのだ。しかもお値段2,000円。

最近は1,000円で飲み放題の店もあるようだが、揃えが違う。

例えばビール。発泡酒とか水っぽいビールなんかではなく、オリジナルの生ビール「ビアブラウン」(めっちゃ美味しい。)、これだけだって十分凄いのに、サッポロラガー瓶ビール(通称赤星)の大瓶も呑み放題なのである。
これらが飲み放題の段階で、原価割れ確定のような気がする。

そして、ウィスキー。なんといっても、ニッカのオリジナルブレンデッドウィスキー。 アルコール度数は51度。どう考えても、オリジナルに造ってもらったとしか思えない。

この他、ラムはバカルディ、ジンはボンベイサファイア、焼酎、ワインは多数。

日本酒に至っては、山形の「大山」が樽酒も大吟醸も呑み放題。

これが、すべて呑み放題でなんで、2,000円で提供可能なのだろうか?(但し、お料理1,000円分は注文しないとならない。)

原価酒場というのは聞いたことがあるが、これでは原価割れ酒場だ。

主に外国の留学生をアルバイトで雇って、経費を抑えているにしても、店の広いお店なので固定経費は馬鹿にならないと思う。

謎だらけの店「天狗」。

謎は解かねばならない。

そこで「天狗」をネットで検索してみると、その歴史は意外と古く1969年(昭和44年)12月に池袋西口に1号店がオープンしている。

当時は「天狗チェーン店株式会社」だったが、今ではテンアライド株式会社になっている。

そこでテンアライド株式会社( https://www.teng.co.jp/ )を検索してみた。

従業員数は2019年3月現在3,185名となっており、立派な大企業だ。

だが、それとメニューの飲み物ほぼすべて呑み放題(スペシャル飲み放題)で、2,000円で商売が成り立つというは別な話だ。

検索の結果、答えになりそうなものは見つからなかった。ただ、代表取締役社長が、飯田永太氏であることは分かった。

今度は、飯田永太氏を検索してみた。

検索していくうちに、何と氏はウィキペディア( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A3%AF%E7%94%B0%E6%B0%B8%E5%A4%AA )に載っているではないか!

よく読むと親族に、伯父として飯田博氏の名前がある。

飯田博:(酒卸問屋・株式会社岡永会長、日本名門酒会最高顧問)
株式会社岡永:http://www.okanaga.co.jp

創業は明治17年。老舗中の老舗でんがな。

日本名門酒会:http://www.meimonshu.jp/

(因みに、株式会社岡永の現社長は飯田永介氏)

こうして今回の謎ときは終わったが、「謎解き」というよりは、調査研究という方が正しいかも知れない。

天狗で美味しいお酒がお値打ちで呑めるのは、「天狗」が日本のお酒業界の英知が結集された居酒屋チェーン店だったからだ。

宣言します。天狗は「チェーン店の星」であると!