富士山は酒の神様!?
いきなりですが、タイトルを読まれてどう思われたでしょうか?
富士山が何故、酒の神様なの?
酒の神様と言えば、松尾大社じゃないの?と疑問が湧いてくると思いますが、富士山と言いますか、富士山の御祭神とされる木花開耶姫(コノハナサクヤヒメ)が日本で初めて日本酒(甘酒)を造ったと伝わっています。
木花開耶姫は瓊瓊杵尊(ニニギノミコト)と結ばれるのですが、子を宿した木花開耶姫に対して、自分の子ではないのでは?と疑われしまう。
身の潔白を証明するため、木花開耶姫は産屋に自ら火を放ち、燃え盛る炎の中、 無事に3柱の御子様を出産することが出来たことを見て、瓊瓊杵尊は安堵したのでした。
ちなみに、その時に誕生した3柱は、
- 海幸彦で有名な火照(ほでり)命
- 山幸彦で有名な火遠理(ほおり)命
- 火須勢理(ほすせり)命
です。
この3柱の御子様を育てる際、お乳の代わりに甘酒を与えたという伝承があります。
このお酒を天甜酒(あまのたむさけ)と言います。
日本書紀の中で、狭名田(さなだ)の稲で、天甜酒をつくったとあるのですが、これは米で酒を醸したということになるので、木花開耶姫が最初に日本酒を造ったと伝わる所以となってます。
(ただ、スサノオノミコトがヤマタノオロチを 退治する際に使われた八塩折之酒(やしおりのさけ)があるので、日本酒発祥の地は島根県だという説もありますが、スサノオノミコトが醸したお酒というわけではないので、諸説ありということにしておきます)
さて、木花開耶姫が造った天甜酒ですが、酒とありますが、お乳の代わりに「甘酒」を与えたと伝わってるので、日本酒ではないのでは?と疑われますが、この辺は、甕の中にお粥と米麹を加えて仕込んだものが、糖化発酵して甘酒になり、さらに天然酵母によってお酒になったという説があります。
そんな事からか、宮崎県には木花開耶姫を御祭神とする都萬神社(つまじんじゃ)があるのですが、 拝殿前に「日本清酒発祥の地」と書かれた木碑があるそうです。
傍には、多くの酒樽が奉納されています。
境内の由緒板には、秋の例大祭には甘酒を造って奉献しているそうで、母乳が出にくいご婦人はお参りしたことで、お乳が出るようになったら、甘酒を納めることもあるそうです。
さらに興味深いことに、都萬神社の近くには酒本(さかもと)という地名があったりします。
お酒に縁深いことが伝わってきますね。
木花開耶姫が造った甘酒を「酛」とすれば、それに天然酵母(蔵付き酵母)の力によってお酒になったと考えれば、生酛造りとも言えますね。
ちょっとしたロマンを感じます。
最後に、天甜酒(あまのたむさけ)の「甜」は甘いという意味なので、甘酒ということになりますが、天が付いているということで、神に捧げる甘酒といったニュアンスになります。
とても神聖な名前だと改めて思いました。