純米大吟醸 清泉川 山形七福神【山形県】

先日の「呑美多」に続いて、またまた日本酒振興で世界征服を目論む首領より呑みレポを依頼されました。

今回は、山形県の酒田市にある「株式会社オードヴィ庄内」のお酒「純米大吟醸 清泉川 山形七福神」です。
この酒蔵は、最近は地元特産品のメロンなどを使用したワインも作っているようです。

酒米は雪女神100%
精米歩合50%

アルコール度16%
山形酵母使用

米, 麹, 酵母, 仕込み水, 杜氏、全てが山形生まれとあります。

「お前書けよ」
「えー私がですかぁ
↑的な流れ(パワハラ?)で酒蔵の事務のお姉さんが描いて、色鉛筆で色付けしたような弁財天のイラストが素朴でかわいくていいです。

口に含んだ瞬間、酸味のせいでしょうかキリッとほんのちょい辛?と思いきや、その後は甘みが広がり、大吟醸なのに旨みも感じます。
ラベルに記載された評価は「日本酒度-1」「酸度1.4」です。

今回特筆すべきなのが、このお酒は酒蔵と同じ酒田市にある「東林山正常院」で「新型コロナ祈願法要」を受けているということ。
ラベルにも「新型コロナ終息祈願」とあります。

本来、お酒は仏教やイスラム教などでは禁じられていますが、日本の神道では神様に対する重要な捧げ物です。
日本では、昔から神と人とお酒に深い関係がありました。
3世紀の「魏志倭人伝」にも「日本人は昔からお酒が好き」という内容の記載があります。

昔の人は、酒造りに関する科学的な知識がなかったため、気温や湿度などの環境の違いにより同じ製法でも作るたびに性質が変わるお酒には、神の力が関わっていると考えました。
神と触れ合う祭りの場では、神に神饌としてお酒(御神酒)を捧げ、神に呑んで楽しんでもらうことで災いを防ごうと考えたのです。
祭りで神に捧げた神饌は、祭りの後に神のお下がりとして皆で分かち合います。
それは神に感謝すると同時に、神とつながり、神の力を得るという意味があります。
お酒は米から造られることから、神に供える神饌の中でも特に重要な扱いを受けています。
伊勢神宮などでは、境内の酒殿で神酒を醸造しています。

お酒、日本酒をいただくということは「神とつながり、神の力を得る」!ということです。
そこに「東林山正常院」での祈願法要により仏の力までもが加わるのです。

神仏習合!
神仏習合とは、日本に古来よりあった神道と、飛鳥時代に蘇我氏が積極的に海外から取り入れた仏教とを合わせ信仰する宗教の考え方です。
まさに、ハンセン&ブロディ、ゴジラ&モスラ(ラドンでも可)な最強タッグのパワーです。

明治政府が神仏分離政策をとるまでは身近にあった信仰ですが、まさに明治以来、このコロナ禍を鎮め平穏な世の中を取り戻すための神力+法力の復活です。

農林水産省によると(21.3月付け発表)、コロナ禍で飲み会などがなくなり、業務用を中心に日本酒の国内出荷量、輸出量が減少しています。
昨年の国内出荷量は前年比11%減、輸出量は13%減で、特に「特定名称酒」(吟醸酒、純米酒など8種類に分類される日本酒)の国内出荷量が14%減と大幅に減少しています。
また、酒蔵は一年前より翌年の仕込みの量を決めて米を仕入れるため、需要の先行きが見えない状態では仕込みの量を減らすしかなく、ひいては材料となる酒造好適米の需要も大きく落ち込むことになります。
飲食店の存続が大きく取り上げられますが、これは日本酒や材料となる酒米の危機でもあります。

日本酒を呑んで、神とつながり、神の力を得ましょう!(あぶない宗教じゃないです
4合瓶(720ml)で¥1000~2000も出せば、日本全国には色々な酒蔵の未だ知らない美味しいお酒がいっぱいあります。
日本酒で神の力を感じながら憎っくきコロナに対峙するために、日本酒の未来のために宅飲みしましょう!