特別純米 福島七福神 大黒天 【福島県】

今回は、1879年(明治12年)創業の福島県白河市の「大谷忠吉本店」のお酒です。
「白陽」,「登龍」のブランドが酒蔵の二枚看板のようです。

原材料:国産米、米麹(国産米)
精米歩合55%
アルコール度16度
地元のお米にこだわっているようです。
名称は「特別純米 福島七福神 大黒天」ですが、内容は酒蔵の一番人気商品「登龍」と同じもののようです。

淡い黄金色でかすかな芳香。
きりっとした爽やかな酸味と辛味を最初に感じますが、余韻で甘みも感じます。
ラベルには「しっかりとした辛口の酒を目指し」とありますが、辛いだけではないお酒です。
ほどよい辛口で呑み応えを備えています。

今回の「特別純米 福島七福神 大黒天(= 登龍)」は「特別」純米のお酒です。
「特別」とは「特別な製造方法で醸造している」ということです。
今回の場合は、精米歩合が55%で、吟醸酒並みに削っているけど米の旨味にこだわっているという点を強調したいがための(多分)、あえて吟醸表示をしない「特別純米」の表示なのでしょう。

お酒の味には、仕込みの際の米, 水, 麹, 酒母などの原料の割合「仕込み配合」が大きく関与します。
醸造の糖化と発酵の過程には、水の硬軟, 仕込み水の割合(汲水歩合), 麹の使用割合(麹歩合)などが、糖化の進行や発酵の速度に大きく影響を与えます。
例えば、麹歩合を上げると米のデンプンの糖化が進みます。
また、麹には酵母の栄養源が多く含まれるため、麹歩合を上げると酵母の増殖が盛んになり発酵が進みます。
糖化が進むことで、米のタンパク質がアミノ酸に変わりやすくなり濃醇な味に、また発酵が進むことで酸が高い酒になりやすくなります。

実際に今回のお酒は、旨味を引き出すために麹歩合を高め、またフルーティさを閉じ込めるために絞り直後に瓶詰め冷蔵を徹底しているようです。
その辺りのこだわりが「特別」純米表記の「特別」 の部分なのでしょう。

そんな「特別純米 福島七福神 大黒天(= 登龍)」なのですが、このお酒は「福島七福神シリーズ」の1本です。
七福神シリーズは、福島県を始めとする酒造が「七福神」の銘柄の下に一致団結して、日本酒振興に力を入れていこうという企画です。
ご存知のように、七福神には大黒天, 毘沙門天, 恵比寿天, 寿老人, 福禄寿, 弁財天, 布袋尊の7神がいらっしゃいます。
「大黒天」は、ヒンドゥーのシバ神と大国主命が神仏習合したもので、財宝, 福徳開運の神様です。
「福島七福神 大黒天」を呑んで神様仏様の力をお借りし、財宝や運を得ましょう

現在は、福島は今回の「大黒天」と千駒酒造の「弁財天」、山形は千代寿虎屋の「布袋尊」とオードヴィ庄内の先日紹介した「弁財天」の4種のようですが、今後も各酒造に協力を仰ぎ、ラインナップを増やしていく予定だそうです。
乞うご期待!