新宿西口 小料理kokoroその2

今日も今日とて小料理kokoro。
本日の肴―まだ終わらんよ。

一杯だけのはずだった。
天隠で整い、神亀で包まれ、
「今日はこれくらいで」
と言いながら、メニューを眺めている。

人は学ばない。
「レバーパテ、ください」

滑らか代表。
ひと匙。
神亀をひと口。   

……会話が止まる。

kokoroでは“うなずき”が会話。
声量より角度。
レバーのコクを、燗がそっと丸くする。
押さない。
怒らない。
包む。

ここでふと思う。 そうかお燗って、昭和のドテラみたいだな。
みんな押し入れにしまってる。
でも寒い夜、一番頼りになる。
派手なコートじゃない。
でも実用最強。
レバーパテ×燗は、完全にドテラ案件。

刺身も頼む。

冬の刺身。
冷たい。
静か。
そこへ温度。
冷と温の往復。
派手さはない。
でも、じわじわ来る。
こういうのを「旨い」と言う。

凛「あの、あそこの竹鶴いただけますか?」

ズルい女子は注文自由なのね。
少し骨太。
刺身に合わせると、輪郭が立つ。
軽い酒では出ない立体感。
凛「竹鶴って、ウィスキーの名前だと思ってた。

そして締めは、伝説の慈愛庵

派手さはない。
だが、静かに強い。
寒さを利用した低温長期発酵で、米の旨みとキレあるやや辛口に仕上げるという説明がある。冷やから上燗まで幅広く楽しめるタイプ。

レバーパテの余韻を、慈愛庵がきれいに流す。
これができるのが燗。
冷酒では出ない丸み。
気づけば満腹はどこへやら。

お燗は攻めない。
整える。
昭和のドテラみたいに、そっと羽織らせてくる。
「今日は本当に最後」
徳利の底を見つめながら言う。

派手じゃない夜ほど、記憶に残る。
また来よう。

寒い夜に、暖まりに。

次回予告
八席灯でお燗に挑戦。