瓶火入れ無濾過原酒 銅羅左衛門【栃木県】

先日の「れいざん 呑美多」に続いてDORA Series(銅羅シリーズ)のお酒です。
栃木県小山市にある1860年創業の「若駒酒造株式会社」の6代目が醸したお酒です。

原料米:五百万石100%
精米歩合:55%
アルコール度:17%
日光連山の伏流水を使い、「山田錦」と並ぶ人気の酒米「五百万石」を使用しています。

ラベルの表記には「瓶火入れ」+「無濾過」+「原酒」とあります。
「無濾過」=醪を原酒と酒粕に分けた後の濾過をしていない。
「原酒」=加水をしていない。
「瓶火入れ」は聞き慣れませんね。

通常の日本酒作りの行程では腐敗や劣化防止に加熱処理「火入れ」を二度行います。
搾りたての日本酒には、まだ酵母が残っていて発酵を続けようとしますが、約60度ほどで日本酒を加熱し、酵素を失活し日本酒の熟成過程を止めることと、日本酒を変性させる火落ち菌を殺菌させる目的で「火入れ」を行います。
火入れには、上記のように日本酒の変性を防ぐというメリットがありますが、搾りたてのフレッシュさが損なわれるというデメリットもあります。

通常の二度の火入れの行程は以下です。
「搾り」→火入れ→「貯蔵」→火入れ→瓶詰め
極力お酒をフレッシュな状態に、と言うことで火入れを一回に減らしたものが「生貯蔵酒」や「生詰め酒」です。

1) 【生貯蔵】 の場合は、火入れせずに生で貯蔵し、瓶詰め前に火入れします。
  「搾り」→→→→→「貯蔵」→火入れ→瓶詰め
2) 【生詰め】 の場合は、搾りの後に火入れして貯蔵した後、そのまま瓶詰めします。
  「搾り」→火入れ→「貯蔵」→→→→→瓶詰め
3) 【生酒(本生)】 とは火入れの行程がありません。
  「搾り」→→→→→「貯蔵」→→→→→瓶詰め

今回は「瓶火入れ」の表記です。
1) の火入れして瓶詰めという流れではなく、瓶に入れた後に火入れするということです。
火入れの際の温度変化をより穏やかにすることで日本酒の風味を損なわないようにと工夫された方法が「瓶火入れ(瓶燗火入れ)」です。
瓶詰めした日本酒を大きな容器に入れ、ゆっくりお燗をするように約60度ほどで加熱します。
日本酒を一度に熱交換器に通した後に瓶詰めする通常の火入れと違い、日本酒を詰めた瓶を容器に並べたり、温まって瓶の栓が飛ばないようにゆるめに栓(仮栓)をしたりなど、人手と時間が掛かりますが、火入れ後の日本酒が外気と触れないため香り成分が飛んでしまうのを最小限に留めて品質を維持できる方法です。
最近では、高品質な日本酒造りをと、瓶火入れを取り入れる酒造も出てきているようです。

酒造の方が創意工夫し、手間暇かけ、心血を注いで醸す日本酒です。
ありがたく味わっていただきましょう。

色は淡黄色~黄金色で、美しい、美味しそう。
香りはしっかり華やかです。
キリッとやや辛口ですが、濃厚で旨味も感じます。

濃厚感があるので、濃いめの味付けのつまみに合わせてみました。
豚角煮とちくわサラダです。
ちくわサラダは、熊本のB級グルメです。
ポテサラを作ってちくわの穴に入れ、さらに揚げるという作るには手の込んだ一品で、味は想像通り?の味ですが、一応美味いです。
「秘密のケンミンSHOW」で取り上げられたり、「アメトーーク」のポテサラ芸人の回でも少しだけ話が出ました。
これら濃い味のつまみの味を「銅羅左衛門 」が洗い流す…..と言うよりは、張り合う, 渡り合うと言った力強い味わいでした。

DORA Series(銅羅シリーズ)、まだまだ続きます。(多分